FAQ 49
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ヒメペラ仕掛けは琵琶湖で使えるのか? |
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使えます。ただし琵琶湖では効率が悪いです。ヒメペラと一言でいってもタイプが3種類あります。ペラがオニギリ型の中禅寺湖タイプ、ナス型の芦ノ湖タイプ、それと北米のヒメマス(kokanee)釣りで使うコカニータイプです。コカニータイプは古い柱時計の振り子に似た形をしているペラです。ヒメトロはレイクトローリングよりもさらにディープでコアな世界であり、10人ヒメトロ師がいれば10通りのやり方があると言われるほどです。やり方は師匠からの一子口伝であることが多いです。したがって自分以外のヒメトロ師が何やっているか知らないことが少なくありません。釣りキチ三平の「早暁のヒメトロ」を読んで、全然自分の仕掛けややり方と違うのに驚きました。ペラも1枚から3枚仕掛けもあるし1枚も使わないヒメトロ師もいます。ペラにドジャーを連結するヒメトロ師もいます。なので以下は釣師朗スタイルで説明します。オリジナルなオニギリ型ペラを2枚に0/0/0ドジャーに短めのハリスを指定の長さでナイロンラインで連結しています。ペラは銀無垢にしたかったのですが予算の関係で銅版に銀メッキとしています。ドジャーもブルーやリフレクトのテープでアピール度を上げています。ペラの形状は潜水艦のスクリューと同じくらい機密事項です。ペラは集魚用の回転板だと思っている人が多いですが、あれは回転板ではありません。勢いよくぐるぐる回転するほどよく釣れると勘違いしている人が結構いますが、ぐるぐる回転させてはいけないのです。ドジャーのようにゆらゆら揺れて、たまにグルンと1回転するぐらいのアクションになるようペラの形状を加工します。ここがヒメペラ製作の極意です。加工がしやすく安価なアルミ板で作るビギナーがいますが、比重が軽いため風力発電の風車のように回り続けますが、これではダメです。中禅寺湖のヒメトロ職人が銀無垢にこだわるのは銀の自然な反射光が良いとか言われていますが、本当の理由はそんなことよりもこのアクションを引き出すための重たい比重です。さらにペラとペラの間の長さもスクリューの音紋と同じく機密事項です。中禅寺湖のプロの漁師が陸に上がってきたところを見計らって、食事に連れ出しその間に仲間がヒメペラ仕掛けの寸法を計り盗って、自分達のヒメトロ仕掛けを完成させたと聞いたことがあります。またヒメトロ師はどこでスパイされるか用心しているので、仕掛けは沖で組み立て沖で分解してから桟橋に戻ります。正に手の内を見せないてやつですね。ヒメマスが掛かっても仕掛けはさっと船縁越しに揚げて隠してしまいます。竿を立ててじゃらじゃら鯉のぼりのように立てたりしません。遠くから双眼鏡で観察されて寸法を計られているかもしれません。支笏湖の昭和40年ごろだと聞きましたがヒメトロ師それも夫婦がいたそうで、子供3人を大学までヒメマスで行かせたという伝説のヒメトロ師です。彼らは湖上で絶えず付きまとわれ観察されていたそうです。ヒメマスは現金と同じなので今でいうと大間のマグロ釣りと同じみたいなもんで、現金収入に係わってくるのでそりゃ生活掛かっているから、仕掛けややり方は秘中の秘でしょう。この凄腕夫婦の直弟子は今でもいるのか興味あるところです。1995年くらいのころ朝もやの中支笏湖の陸に接近してくるヒメトロ船が、ジャラジャラと仕掛けを掲げていたので見てみると、ペラはオニギリ型で3連でした。以下想像ですが現在のこのヒメトロ仕掛けの発祥は戦後アメリカからコカニー釣りの仕掛けが伝わったか見知って、支笏湖の漁師が当時の日本で手に入る材料で日本流に改良して、中禅寺湖や芦ノ湖に伝搬したのではないかと思います。ヒメマスはもともと北海道の阿寒湖が生息地域でそこから支笏湖に移植されて定着して、十和田湖や中禅寺湖や芦ノ湖などの内地の湖に、支笏湖を供給元として移植されていきました。また今の釣り方(ヒメペラ仕掛け+エンジン船)は戦後からであると何かの文献で読んだことがあります。19世紀にオリジンの阿寒湖からヒメマスが移植された支笏湖の近くには戦後米軍基地があったし、支笏湖の近くのオコタンぺ湖のニジマスは米軍がヘリコプターで空から放流したと伝えられています。そんなんで北海道の米軍がヒメペラの誕生に強い影響を与えたと勝手に想像を膨らませています。話がだいぶそれましたが琵琶湖でなぜヒメペラは使えるが効率が悪いかの話に戻しますと、さっき言ったとおりペラは回転させてはいけないので物理的に速く曳けないのです。時速1キロです。2キロでは速いと思います。時速1キロで海津大崎から観測塔に向かったら日が暮れるでしょう。余談ですが船速にこだわるヒメトロ職人は、減速させるためにバケツを曳いたりボートをバック(後進)で使いますが、転覆のリスクが高いのでやめた方がよいと思います。
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自分の中ではほぼ完成形のヒメペラ仕掛け一式
銅板の純銀メッキペラ2連+銀箔ドジャー+特製ヒメタコ+お約束の鈴
漁具間はナイロンラインだが太さや長さがまた秘中の世界