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1本でも釣れますが十分とは言えません。しかし中禅寺湖のある名手は、左舷レッドコアライン1本のみで曳いています。技を究め、拘りを持つ職人トローラーであれば、一竿入魂のスタイルはありです。このルアーたった一つに賭ける「山猫は眠らない」のプロの狙撃兵のような、孤高のトローラーも確かに少数いますが、複数出しは単に下手な鉄砲数撃ちゃ当たるの発想では決してないのです。2本出しと3本出しの違いは単に集魚力とかヒット率が1.5倍になる程度の話ですが、1本出しと2本出しはそういう単純な計算では測りきれないぐらいの大きな違いがあります。1本出しの欠点はヒットして魚を釣り上げた時に、そのルアーを追跡していた他のビワマスは、目の前からドジャーなりルアーが消えることで、その場で解散です。2本出しであれば1本が必ず水中に留まっているので、残りのビワマスをまだ惹き付けている可能性は大です。つまり2本目のヒット率が相当に高いのです。いついかなる時でも仕掛けがタナにあること、実はこれはヒメトロの極意の一つなのです。そのことから2本出しであってもヒットしたら、ヒットしていない仕掛けをお祭り防止で先に回収してからファイトするのは、釣果に欲深いトローラーとしては間違いなのです。お祭りしてしまう初心者でない限り、もう一方の仕掛けは正しくは巻き上げないのです。左舷でヒットしたらゆるく左にターンしながら、ビワマスを右舷のレッドコアラインから引き離しながらファイトするのです。この時点でできるトローラーは右舷のビワマスのヒットの予感を、頭の片隅でもう意識しています。ヒットしてこのターンや減速などの挙動変化が右舷の仕掛けに伝わり、取り込み中にダブルヒットが多いのはこういう理由だと思います。そのためこのヒット後の操船技術は必修科目となります。 |