Method 6 ティーザー
効果が必ずあるとはまだ確信を持てていないため、こう言う仮説に基づく釣り方もあり得ると考えてもらいたい。 もちろんこれを試してみたり応用してみたりすることは自由だし、この釣りのベーシックな技術面を押し上げていくものだと思う。
コンビニ店の品揃えはPOSデータでコンピュータ管理されている。 どこの何と言う店の何時に幾つぐらいの男か女かが何を何個買ったかをリアルタイムに把握している。 それを本部のバイヤーが何が一番売れているかをチェックして、いつも売れ筋商品だけが棚に並ぶようにしている。
でもこのリアルタイムに数字で合理的科学的に管理できるコンピュータ・システムさえあれば、本部のバイヤーなんて全員学生アルバイトでも良い訳だ。 毎日プリントアウトされる売れ筋リストの1番から5番までを発注してさえすれば良いからだ。
ところが気まぐれで複雑な購買動機を持つ消費者を捉え、彼らに1個でも多くの商品を買わせるかで日々コンビはシノギを削っている訳である。 何か釣りに似てないかい?
じゃあアルバイト学生ではできない商品選びの仕事は何なのか?と、とあるバイヤーの部長に聞いてみたことがある。 するとなるほどぉの話が聞けた。
「ある商品とある商品を組み合わせて並べると、一方の商品がどんと売れることがあるんだけど、その組み合わせを見抜くことなんだよ。」
つまり売上5番の商品と12番の商品を並べて陳列すると、今まで5番の商品が2番に這い上がる魔法の組み合わせがあるのである。 これを膨大なデータと今までの経験と勘から弾き出すのがプロのバイヤーの仕事だそうだ。
さてこれに似たことは乗合のソルトルアー・フィッシュングに良くあるのである。 たとえばジギングで大物を狙って大きいジグを釈迦力でしゃくっていても、横でそんな重いジグなんか疲れるから嫌とか、私はビギナーだからて言って小さいジグをしゃくられると、こっちの小さいジグを使っている釣り人に釣れてしまうことが多いのである。
そんじゃあ最初から小さいルアー使えばいいじゃん?てなると思うけど、現実はそうじゃないようなんだ。 小さいルアーだと目立たないから魚がわざさわざ寄って来ないあるいは気がつかない部分があると想像する。
たぶん魚は回遊中に最初にアピール度の高い大きいルアーを追かけて来るけれど、結局小さいお手ごろサイズをついぱくっとやっちゃんだろなと思う。 この場合の大きいルアーがティーザーになっているわけだ。
この理論をレイクトローリングに応用する場合、たぶん一人でしかできないと思う。 一本のロッドにティーザーになってもらわなければならないからだ。 つまり同船者がいる場合は片方が噛ませ犬、当て馬になってもらわなければならないのである。 だから一人で2本のタックルを使用している時がやりやすい。
今の試行錯誤のやり方は片方のタックルにドジャーを使用する。 そしてそれには赤金などのアピール度の高いルアーを結ぶようにしている。 ポイントはドジャー・タックルが客寄せパンダとなるからだ。
「さぁいらっしゃいらっしゃい! 今日はいい娘が揃っているよ、社長!」てな感じで誘き寄せるのだ。
もう一方のタックルにはドジャーを使用しないで3グラムぐらいのアワビスプーンやリアルカラーの小ぶりなミノーをさり気なく結んで流すのである。 こっちが食わせるための本命である。 流すタナは基本的に同じ深さとなる。 ただしリーダーの長さは違えていた方がより効果的だと思う。
トラウトがドジャーに誘われ、「ん?何だ何だ」で寄って来たけれど、「何だドジャーじゃねぇか! 危ねぇ危ねぇ」と留まった時、その近くに食いごろサイズのナチュラルなカラーのベイトらしきものがいれば、行き掛けの駄賃でぱく付くんじゃないかなと勝手に想像している。
釣友と同船した際ドジャーを使って一方釣友がドジャーを使っていないで同じタナを流していると、ドジャーを使っていない方がヒット率が高く、ドジャーを止めるとヒット率が落ちるような気がすることが何回かある。 もちろん単なる偶然かもしれない。
だからこのメソッドは開発試行中なのである。 ドジャー付きのタックルをティーザーとしてトラウトを寄せて、もう一方の本命タックルで釣ると言う二刀流の応用テクニックとも言える。
ただしこれに限らずレイクトローリングで2本以上のロッドを出している場合、いくらバッセルのピンクが釣れるからといっても、同じルアーを同時に流すと何故かヒット率数落ちるような気がする。 同じルアーを流すことは経験から望ましくないと思う。 だから派手なルアーと地味なルアーの併走がおもしろいのだろう。
余談であるがキャスティングの釣りだと、先ずポイント周辺にアピール度の高いルアー、たとえばラトル入りとかアトラクターカラーのルアーを投げ込みぐりぐり引く。 ここで魚が出てこなくても良いのである。 そして頃合を見計らって小振りでナチュラルカラーのルアーを投げ込むとリアクションバイトで飛びつくことがある。
でもレイクトローリングは二刀流が使える最大の強みがあるため、キャスティングの釣りであれば2回に別けて行うメソッドを同時に行えるバリューパックな釣りなのである。
派手なドジャーがグルングルンと騒々しく通過した後に、本命の食わせルアーがすうぅぅと通過して行くのが良い。 たとえばドジャー側のリーダーが10メートルあれば、食わせルアー側のリーダーは15メートルから20メートル取って、通過時間に時間差をつける訳だ。
ほらこれもキャスティングの釣りをレイクトローリングに置き換えただけである。