ビワマス釣り 100+の疑問

Method 1 二刀流



キャスティングの釣りでは絶対にできない芸当である。 途中間もあったが20年以上下手の横好きで疑似柄釣りをしてきたが、未だかつて両手でルアーとかフライを投げているアングラーを見たことが無い。

二刀流と言えば宮本武蔵であるが、後にも先にも二刀流の大家はこの剣豪しかいないらしい。 武蔵はどう言う理由かは知らないが弟子を伊織と言う少年しか取らなかった。 伊織も武蔵のお眼鏡に適った天才だったと思うが、超天才の技術は伝わらなかったのだろう。

そう言えば現代にも同じ名前の格闘家がいるけれど、武蔵ファンの釣師郎としては改名してもらいたい。 この前も試合の翌日のスポ新で「ムサシ秒死」て見出しが出ている様じゃ泣けてくるよ。 秒死じゃなくて秒殺する方だろう?

二刀流の習得には右手と左手がまったく別個に意思を持ったように、それこそ違う人間がそれぞれ刀を持っている並に動かせないと不可能なのであると思う。 もしそれが可能となればいつも2人掛かりで戦っているのと同じであるから断然有利に決まっている。

ところがレイクトローリングの二刀流はそんな天才しかできない二刀流ではないのが救われている。 利点だけが頂けるのである。 ただし欲張って一人で四刀流はホントに天才ではないとできないと思うけどね。

レイクトローリングの二刀流は第一義には当たりタナを捜すことである。 2本出しだから確率2倍、2倍である。

その場合は浅い深いの2つのタナに流すことになる。 2色と6色とか、4色と8色とかの段違いにするのである。 

そんなの魚探でタナを計って魚影のあるところに2本とも流せばいいじゃんとなるかもしれないが、たしかにそれは一理あるけれど過程は端折らない方が良いと思う。

魚探が測定する範囲の広さは周波数によって異なるが、決して広いものでもないし通常ボートの真下しか測定できていないのである。 しかも必ずしも測定範囲内に5匹いれば5匹ともドットとなって表示される訳でもない。 映らない魚群もあるのである。

表層の魚影は反応を見分けにくい。 魚影の反応なのかノイズなのか正直よく分かりません。 また魚探に反応している魚群は必ずバイトするやる気のあるトラウトばかりではないであろう。

狙うのは魚探に反応するただの魚群ではなく、やる気のある魚群を捜すことである。 

それと世の中理屈とおりには行かないことも間々あるのである。 釣師郎もこのHPで偉そうなことを書いているけれど玉砕することだってあるのだ。 (涙)

むかし魚探の反応を見ながら深場にトラウトがいることを確認して6色から8色でパラパラ釣れたことがある。 よし今日のパターンは深場狙いだ!と決めて数匹か釣ったところで沖上がりしてボート屋に戻ったら、別のお客さんがハーリングで入れ食いで30匹近く釣ったなんて聞いて赤っ恥かいたことがある。

素人の相場は丁半博打で言うと片方にしか賭けない。 まさに勝負だ。 ところが機関投資家などのプロはリスクヘッジをするためにどこかで両方に賭けている。 どっちに転んでもリスクを最小限するためである。 プロですら読み切れない世界では両方にチップを積むのである。

段違いの二刀流で大体のタナが分かると初めて色数を絞り込んでいく。 同時に魚探でやる気のある魚群の水深が絞れてきている筈である。 そこで仮に水深8メートルが狙い目であると仮説した場合、船速と色数を経験値から割り出し8メートルにルアーをデリバリーする。

でここで経験値と言ったのは、ほとんど誰もこの船速と色数で、実際今ルアーが水深何メートルを走っているかを目視で確認していないと思う。

アクアラング付けて潜るのがもっとも確実だがここまでやった偉人は知らない。 あるトローラーに言わせると、あらかじめ魚探で水深を測定した藻の生えている湖底をギリギリに引きずってその船速を確認すると言っていた。 ルアーのフックに藻が付いていたらアタリだそうだ。 しかしとても釣師郎にはできない学術調査である。

垂直から前方の水平方向まで測定できる新型の魚探をボートのケツに装備して後方に超音波を照射すると、ルアーが今水深何メートルにあるかが判明できるらしい。 ただし旅団にはそんな余裕が無いので購入して試したことが無いのでらしいとした。 ブルジョアトローラーの誰か試したら教えて下さい。 ん? それこそ秘伝か…。

今まで簡単に「船速」と言ってきたが、これはトロにおけるチョー重要ファクターである。 船速はさっき言ったキャスティングの釣りでの「リトリーブの速さ」と魚のいらっしゃる「タナに合せる」を決定するファクターであるからだ。

しかし資本主義の世の中カネで大抵のことが解決できちゃうから、お金持ちは笑っちゃうよね。 今の技術でお手軽に小数点以下の速度まで誤差無く出せるのである。

それは湖の地図をインストールされたGPSあるいはGPS付き魚探を装備すれば一発なのである。 オマケにヒットポイントまで正確に記録して地図にマークが打てるのである。 だいたい安いところで16万円くらいかな。 

もちろんそこまで行かなくとも、魚探の別売り品である従来の水車が回って速度を測定するセンサーでも、相対速度ベースでは測定可能である。 しかしGPS測定だとより正確な絶対速度ベースで測定可能なのである。 何て言ったって、GPSで測定した正確無比の2点間の距離を何分で移動したかで求めるからだ。 そこに湖の水の流れなどの要素が入り込むことは無いのである。

ソ連が勝手に立ちごけして東西冷戦が終了したお陰で軍事技術であるGPSが民間に開放され、しかも今まで正確な位置を敵軍に悟られないよう誤差信号が入れられていたことも無くなり、高価なDGPSを購入すること無くただのGPSで米軍の技術を享受できるようになったのは、アメリカ様ありがたいやありがたやである。

さてそんな高価なハイテク兵器が購入できない旅団のような第三国人民解放軍は、人間コンピューターと精神力で対処しなければならないのである。

船速の計り方はよく聞くのがエンジン音と言われている。 しかしこれは間違いである。

そのやり方は、最初に使うルアーをボートから見える位置に流してもっとも淫靡にアクションする時のエンジン音を記憶し、そのエンジン音で必要な色数を出して流すと言うメソッドだ。

もうちょっと詳しく言うと、インプットしたエンジン音より航行中のエンジン音がうるさくなれば計算より船速が速いてことであり、仮にそのエンジン音でヒットすれば魚のいるタナに上下の移動変化が無ければ、逆にそのうるさいエンジン音での船速が狙っている水深に達する適正な船速度、つまり当たりである。 この新しい音をリ・インプットすればより正確な水深を流す船速と色数の組み合わせが分かるのである。

しかしこの理論には大前提がある。 それは風力ゼロ、湖の水の流れゼロ、波無しの鏡のような湖の環境モデルなのである。

砲弾は放物線(二次曲線)を描くと高校の物理で習ったが、釣師郎は未だかつてホールインワンしたことが一度も無い。 方程式から行くと絶対に百発百中の筈なのにだ。

釣師郎は単車乗りでもあるのでエンジン音には敏感である。 街の中はさて置きクルージングしている際は普通メーターを見ていない。 タコメーターを見ることはあるがベテランライダーになるとそんなもん一々見なくても、エンジン音で今何千回転とかパワーバンドに入っているかどうか分かるものである。

で、同じエンジン音を維持しながら北海道の信号が一本も無い道道を流した場合、途中に上り坂や下り坂があってもまったく同じスピードで走れるものだろうか? 同時に向かい風や追い風があってもスピードは変わらないのであろうか? さらに飛躍するとジェット気流に乗った旅客機が予定より早くアメリカに到着して、出迎えが来ていなくておろおろするのは何故であろう。

では何で船速を把握するのが良いかは、実は「竿先の曲がり具合」である。

もちろん潮流ならぬ湖流が強烈にあれば誤差が発生するがそれと遭遇する確率は低いものであろう。 少なくとも波・風によってロッドチィップがぐにゃんぐにゃん曲がることはないはずである。 風であの細いロッドチィップがぐにっと曲がる場合は逆にトロってる場合じゃなくてとっとと避難する場合である。

ロッドチィップの曲がりを見る場合は、いつも同じ位置から見るようにする。

当たり前の話だが茶筒を真上から見れば丸だが横から見れば長方形である。 つまり遊園地のびっくりハウスみたいになってはいけないのである。 車のドアミラーのようにいつも同じ頭の位置から見るようにする。

この竿曲がりの具合メソッドが一番正確だと考えている。 ヒットした時の竿曲がり具合が当たりだ。 この竿曲がり具合をインプットすればより正確な水深を流す船速と色数の組み合わせが分かるのである。

ただこの曲がり具合の画像を脳みそに叩き込むのは、右だか左だかは忘れたけど、どちらかの脳が発達していないと最初はまごつくかもしれない。 釣師郎はビジュアル系は苦手だから、いまでもありぃぃ?状態に陥ることがしょっちゅうである。

余談であるがベストな船速の見極めはそれはそれは経験の積み重ね、今はデータを数値化することだ。 たとえばさっき言ったGPSやセンサーなどで速度を数値で出してデータを分析するわけだ。

でも魚探がまだ紙ロールの時代、中禅寺湖のヒメトロ・アマチュアはプロのヒメトロ漁師のボートを離れて追跡してベストな船速を真似して覚えたり、双眼鏡で漁師が仕掛けを手繰る様子を盗み見て当たりタナを知ったりしたそうだ。

今でも上手そうなトローラーを湖で見つけたら、後ろから付かず離れず不審船の如く追跡しているとそのうち望ましい船速を覚えてくることになるだろう。 距離が縮まれば速いし、距離が離れれば遅いてことだ。 ここで高性能な望遠鏡を持っていれば、さらに魚をゲットした時の仕掛けやヒットルアーまで偵察することも可能だ。 どうしても何しても上手くなりたいトローラーは北の工作員として行動することになるだろう。

さてまたまたバカみたいに話が逸れたので元に戻す。

段違いを絞り込んで行く話だった思うが、4色と8色の段違いで8色にヒットが明らかに多ければ、例えば8色を軸にして7色8色とか8色9色のように幅を狭くしてみる。 まぁ、馬券の買い方みたいなもんである。 8色が◎で9色とか7色が○とか△になるのと同じである。

これで本命の8色より7色の対抗の方が出が良ければ、7色が流れている層が本日の当たりタナと絞り込めていける筈である。 つまりより食い気のある魚群のタナを探って行く訳である。

また余計な話であるが水上での諜報活動も忘れてはならない。 近くで別のトローラーが取り込みに入ったら、邪魔にならないところから目を凝らして何色ぐらい出しているかぐらいは盗み見るようにする。 情報収集艦のトローラーは双眼鏡を持参している人が多い。

また取り込みが終わったのを確認したトローラーと湖上ですれ違う時は、健闘を称えお世辞の三つ四つ言って、で何色でしたか?は聞けたら聞けるようにしよう。

この何色?とのやり取りでちょっと覚えておかなければならないことは、どこから何色かの基準を確認することである。 通常は水面下何色である。 でも中にはリールのスプールから何色と言うトローラーもいる。

冬の北海道では今日の気温は5度とか10度と言っているけれど、これはマイナス5度とかマイナス10度のことである。 ただしテレビの天気予報は違うよ。 一々マイナスなんて言わなくても道産子同士は分かっているからである。 そんな常識を知らない内地の人が話を聞いて10度てそんなに寒くないなぁなんて思って千歳に降り立つと鼻毛が凍る訳である。

次にビギナーがよく陥る失敗に多いのが、何色ですか?を聞かずに、何のルアーですか?とだけその釣れたトローラーに聞くことである。 

ルアーが魚を釣るのではなくタナで釣るのである。 きっとこれは釣り具メーカー各社のセンセーショナルな宣伝によって望ましい形で洗脳が完了した結果なのであろう。 魚のいないタナであれば、そこにOX引っ張ろうがアワビ引っ張ろうがウッドベイト引っ張ろうが絶対に釣れない。

最後にちょっと二刀流時の応用注意事項を言っておこう。

それは片方が表層曳きで片方が中層以深のタナ設定で流す場合は、表層曳きの仕掛けの全長は、中層以深のそれより流しておくことが望ましいてことだ。

魚が表層でヒットすると当たり前の話、やる気のあるまともな魚は、駆逐艦に発見された潜水艦の如く急速潜行、Daive!Daive!で中層以深の安全深度まで遮二無二逃走する。 その場合もしそこに自分レッドコアがもう一本走っていたらどうなるであろうか? 5色出していたら表層曳きの仕掛けは70メートルは出したい。

ただ注意しないといけないのは、最近はトロブームなのか直後を平気で横切って行くマナーが悪いのか、それとも無知なのかの他船がたまにいるので、場所・時間帯を十分検討してから表層曳きを試みたい。

でもこれも当たり前の話だが、所構わず長仕掛けの表層曳きは迷惑でもあることも自覚しておこう。