ビワマス釣り 100+の疑問

BIWA History 6


第6話 ベイト喰いにはミノーかでかいツノだ

(6.9-10,2007)



いよいよ6月に入ってビワマス本格シーズン突入との期待に胸膨らむ。今までの実績からしても、このころから活性が高まり、トローリングでの水揚げが期待できるのだ。

ただ活性が上がるのはビワマスだけではない。大敵ウグイもスィッチオンなのだ。釣師郎は実はあまりウグイには好かれていないみたいで、朝一の3本だけで逃げ切れたが、hayasiさんたちは正にヒッチコックの「鳥」のごとくダース単位で襲撃されたそうだ。 後で上がってからその数聞いてビックリしたよ。

この悩ましい隣人のウグイのヒットは、知らない人もいると思うが、グンと一発入ってはっと思うとそれっきりふにゃっと戻って弱々しい挙動が・・・そして竿を持った瞬間にこのやる気の無さ。 慣れてしまえばヒットの瞬間に分かるけど、初めて琵琶湖で曳いた時はそりゃウグイのヒットのたびにときめいたものよ。

しかし上がってくるのはでかいといえどもウ・グ・イ。まともなサイズのビワマスのヒットは、同じグンと入ってもベリーあたりまで曲げられて戻らずに、そこでぐわんぐわん振るわせてくれる。 活きの良い50オーバークラスだと、ロッドホルダーから竿を抜くのに一苦労するぐらい引き込まれてしまう。

仕掛けを10色セットするたんびにウグイの入れ食いに襲われたら、そりゃビワマス釣りになりませんわな。たぶん思うに、このウグイ釣りの秘訣は、水深がまだ浅い(50メートル級でもヒットしてくる)、曳くスピードが遅い、ルアーが赤系てのだと思う。よくウグイ避けにでかいルアーを使えば良いとか聞くが、でかくても来ます、ウグイは。上がってくるとどっちがビックミノーだか遠目で分からないときがある。

それともうひとつ、関東トロ屋に聞きなれないケタバスていう魚。最初にケタバスといわれたときは、ブラックバス釣りのメッカ琵琶湖の地元バザーの俗語かと思った。またハスとケタバスは違う魚なのかと思っていたが、どうやら同じようで、琵琶湖あたりではハスをケタバスというそうだ。

これはウグイよりちょい上の層に居るそうな。図鑑で調べると、コイ科の魚で美味とあるがもっとも遊泳力に優れており、コイ科には珍しい魚食性と書かれてあった 食べたことが無いので昼にROSCOさんに食べたいと行ったら、しっかり漁師さんは釣ってきました。

関東人の釣師朗には見た感じオイカワだね。地元漁師はエラ蓋に指を突っ込んで上手にワタをくるくると抜き取り、身の太いところに包丁でずばっと切れ目を入れて塩焼きにする。この切れ目付近の身が焼きあがると、ぷくっと膨れて食べやすくなる。

宿のおかあさんに言わせると、雄バス(オバス)と雌バス(メバス)の区別がちゃんとあって、オバスの方が身がしっかりして美味しいとか。酢をかけて食べたりもするそうだ。で食べてみたが、個人的な感想として、味の濃い川魚て感じだった。ビミョー? 魚探に小さなへの字が重なるように柱のように出てきたら要注意だ。ちんたら曳いていると、ウグイが両舷ヒィィィィィットだ。

天気は良くない。大気の状態が不安定で突然の豪雨・雷・突風に注意だと。未明に桟橋に付いた時点でしっかり雨が降っていた。いやだぁと思いながらも漁師カッパを着込んで出漁の支度を始めた。

水温は19.7度。出港したら雨は殆どやんでしまった。夕方まで雨との天気予報は外れてしまったようだ。ただ天気予報通り殆ど無風のベタ凪だった。これには気を良くした。雨は我慢できるが強風とか雷では釣にならないからだ。

直前の情報だと定番ポイントが不振で東岸のポイントまで行かないとダメみたいとか言われて、ガソリンが足りんのかと心配していたが、ベイトともに群れがこちら側に入ってきたのかぽつらぽつら回復している緊急情報が現場で入ってきた。なんで結局定番ポイント流することとなった。

でこの朝一がウグイの猛攻だったわけよ。前回の辛い思い出が甦り一時はどうなるかと思った。しかしあのときは魚探に一点の反応も無い死の世界であったが、今回は10から15メートルにかけてベイトの群れがよく出ていた。

得意の竹生島葛篭尾間のポイントは敢えて見送って竹生島ちょい沖から丁寧に流す。ここから大崎チョー沖の口じゃ説明できないただっ広い所まででヒットを重ねる。いつもほどラインは出す必要なかった。そんなことよりも今ビワマスがしきりに食べているのはベイトだね。今回の釣行の釣り方パターンを一言でいえば、今ベイト喰ってる! これだろね。

稚鮎を掬う漁船が岸寄りだが入っていた。釣り上げたビワマスの口や胃から半消化の7センチくらいベイトが出てきていた。多分ワカサギか稚鮎だと思う。そしてヨコエビやスジエビは一匹もいなかった。もう本当にベイトだけを喰っているとしかいえない。

魚探に出るベイトの群れは、水深10から15メートルにかけてのぐちゃぐちゃとした塊であった。この水深域も終日変わらずである。 朝方ウグイの猛攻を受けるが、この魚探の反応パターンは、小さなへの字が重なって電信柱の如く細く縦に長く現れる。これがディスプレイに現れだしたら注意だ。

確実に釣れるのが5センチから6センチのサイズ。形を出そうとしたら7センチから8センチのチャレンジが欲しい。逆に3センチサイズだと、ヨコエビを食べている時期ではないのか、目の前にもっと大きなベイトが泳いでいるのを、そんな小さい餌なんか追いかけても意味がないでバイトしてこないのか、ヒット数が極端に良くなかった。たまに釣れてウグイだった。

ただルアーは貝系とツノの両舷曳きで曇天の朝方流したが、ツノは殆ど反応なく貝系の方がぜんぜん良かった。特にアワビよりも夜光貝であった。前回も夜光貝が良かったが、今回も夜光貝の方がずっと良かった。アワビより夜光の方が、今の湖水の質にでも合っているのかもしれない。

ツノは総じてあまり良くなかったが、ROSCOさんから強奪した魔法のシートを張ってあるツノは、安定したヒット率であった。貼ってあるとビワマスから見て夜光扱いになるのかね。

ミノーで釣りたい人は今がチャンスじゃないのかな。ジョイントラパラとかリップレスミノー90とかを試しで曳いてみたら結構釣れたよ。他にトロペン70でも釣れたとかいっていた。これをいったらお終ぇよかもしれないが、サイズが合っていれば何でもいいのかも。

そんで多少泳ぎが悪くてもドジャーが振り付してくれるし、そのドジャーもしばらくは琵琶湖で効いていそうだから。 ただ逆に言うと、自作含めてこのミノーで釣りたいて拘りトローラーはやりたい放題だね。でもサイズが合ってないと無理だろう。ここのビワマスて魚はグルメだから、あれもこれも口に放り込んだりしないようだ。

琵琶湖は餌の豊富な湖なので食べる物が季節によって明確に変わっていくようだ。そのうちスジエビ・ヨコエビを吸い出したら、ミノーじゃ厳しいだろう。この辺の理屈が分かっていないと、前回ミノーで爆釣したから今回もミノーで・・・なんて単純なこと考えると、玉砕するかも。

去年のあるときミノーを曳いたけどかすりもしないときがあって、違うタイプのルアーに換えたらボコンボコンと来るのは、やはり喰っているエサの違いでしょう。ただし胃の中のモノを見ても、見誤る高度な騙しの時があるから注意。大小混じっているときは、自分が曳くタナにどっちがいるかでルアーチョイスするのがキモだ。

マッチ・ザ・エサ 今何を喰っている、そのサイズは??

食い物が豊富な琵琶湖で喰えないルアーでバイトさせるのは、ビワマスにリアクションバイトてのがあるかは知らないが、やはり食っているモノに似せるのがまずは基本じゃないかと思う。その筆頭要素がサイズだ。

(経緯度で説明しないと無理なので便宜上自分がGPS機に適当に命名した)Dポイントで10から15メートルにかかるベイトの群れを発見したROSCOさんは、ちょい上狙いで9メートルのダウンリガーをしてみたら、立て続けに5本を揚げたそうな。浅いタナのダウンリガーは手返しが滅法早く効率が良いのだ。 ヒメトロみたいなもんだ。

まさやんがいつもの葛籠尾通り道の大浦寄りで60オーバーをヒットした。彼はこの後にももっと凄いヒットと遭遇しているが、たまたま釣師郎がこの最大とのファイト&バラしを目撃してしまった。大浦寄りというよりもCポイントに近いエリアである。

さて今回はここだけが天気予報が当ったね、12時に強雨てのが。天気は出船のときから雨が上がっていて途中晴れ間も出て暑かったのだが、天気は油断しちゃダメだね。晴れ間も出て暑くなってきたのでカッパ脱いでTシャツでいたら、今度は何か寒くなって来て、よくよく感じてみると空気がちょっと湿っぽいく感じて、質が変わったと思った。で東の対岸を双眼鏡で天候観測してみると、だんだん暗い雲がかぶってきて見えなくなりだした。

なんかもの凄く遠くでゴロ・ゴロっとかすかに聞こえる。そのうち東の暗い雲の中に一条の光が走ったのがちらりと見えた。釣師郎の頭の上は晴れているんだけどね。ROSCOさんが遠洋漁業の途中から、一早くこの空気の変化を感じて桟橋に帰港を開始し始めた。ここが素人とベテランの違いだね。「まだはもう」が琵琶湖戦陣訓。

まだ大丈夫と思うは、もうかなりヤバイて心せよ。 釣師郎も今は地合ではなく釣れそうも無いので、じゃ俺もと撤収作業開始した途端、パラパラと粒が落ちてきた。

琵琶湖は関東の小湖とは異なりとにかくでかいので、天候判断の見切りは早め早めにしないと逃げ切れない場合がある。全速でも30分では桟橋に帰れないこともある。特に荒れだして波が立ちだすと全速では走れないから、ますます帰る時間が長くなってしまうのだ。

ナイスタイミングで見切った釣師郎は、本降り前には宿の畳の居間で、ビールを飲みながらくつろいでいた。天気予報は未明からずっと弱い雨であり、12時ごろに強い雨とあったが、未明の雨だけで後は雨は上がってしまい予報もあてにならんのぉとか思っていたが、この12時の強い雨だけはどんぴしゃりだった。

雨が上がってから夕方に出陣した。雨の影響なのか時刻の問題なのかは分からないが、タナが少し上がってきている感じだった。夕方からフラッシャー&魔法のツノでまたぱらぱら釣れだした。フラッシャーとのハリスの長さ設定は散々苦労しただけあって、この長さでジャストミートの感じだ。

朝一のスカなときは一時はどうなるかと悪夢が甦ったが、結局それなりに水揚げ出ちゃったて感じ。

ただ今回みんなと同じポイントであり同じような仕掛け・ルアーであったのに、何かみんなと比べて自分の釣れるサイズが小さい気がした。推測だがドジャーとのハリスの長さが釣師郎よりもずっと長いのに気が付いた。

もしかしたらビワマスは、特に大きいビワマスは激しい捕食行動が苦手なのかもしれない。虹鱒よりもレイクトかブラウンに近く、海外のドジャー取扱説明書を読むと2から2.5倍までが基本形の中で、レイクトかブラウンのように臆病で神経質な魚は、3倍以上と長くする旨が書かれていた。次回は従来の長さと、0/0ドジャーで50センチの仕掛けの両方同時流しで釣果比較してみよう。

それとさ、日本では傾き者?のフラッシャーを、琵琶湖で積極的に使用してみたところの印象は、活性が高い時あるいはスレていない時はフラッシャーの威力は抜群で、横で曳いているドジャーの2倍の釣果が出ることもあった。ただこれもフラッシャーとルアーの距離、つまりハリスの長さがキモ中のキモだね。

当たり前の話、これで決まりの普遍の長さてのはない。A社のXとかB社のYとか、フラッシャーによって回転半径や回転速度が全く違うため、またそこがアクが強い傾き者の所以であるが、それぞれに適切に合わせたハリスの長さを見つけ出す必要がある。

適切て? 回る回るがフラッシャー、ヒメペラの如く回らぬがルアー。ビワマスてヒメマスと同じなのか? ルアーが魚を釣るんでなく、ラインシステム等の仕掛けのトータルバランスが釣る。これがこの釣りの極意だと思う。

でないとA社の何とかスプーンで釣れたとか、B社のミノーとか何とかでないと釣れないとか・・・で、釣具店の思惑に乗らされて散財して、この劇的な不景気の中、凝り性の釣師に多い慢性貧乏症をさらに悪化させてしまうのである。

翌日、朝飯を食べてからいつもの通りだらだらと支度して出船。別の泊り客はとっくに出船していた。みんなと朝食時に、パターンは昨日と変わっていないだろうて至極まともな話になったら、昨日といったら朝一はウグイのパターンしか知らねぇ〜で笑ってしまった。

しゃぁないので夕方のパターンで流したら、サイズこそは出なかったが直ぐにぱらぱら釣れた。ただ10時を過ぎたらアタリが遠のき、やたらでかい10から15メートルに出るぐちゃぐちゃとした塊をよく見るも、これはワカサギか?

岸寄りを稚鮎掬い船が漁をしていたが、てことは稚鮎が掬うほど群れていることだが、hayasiさんが水面直下に漂う稚鮎の群れを発見し突入したら、水面直下から10メートルぐらいまでの塊が魚探にぼこっと出たそうだ。

でこの時間なったらもうカスリもしなく、明日は出張で早いので、早上がりとした。





第7話へ続く