ビワマス釣り 100+の疑問

BIWA History 2


第2話 琵琶湖で革命的釣法見参

(08.9-10,2006)


16世紀スペインはインカ帝国に攻め入った。

圧倒的な力の差でインカを滅ぼし唸るほどの黄金を奪い取ったわけだが、それはインカの人たちが見たことも無い馬とか鉄の剣や銃が理由だといわれている。彼らインカの人たちは、そんな凄い文明の利器を知らなかったわけだ。

この湖の開拓に走り連日大漁旗のROSCOさんに、先日地元のプロ漁師がとうとう道具を売って欲しい、そしてその釣り方を教えて欲しいと頼まれたそうだ。それは種子島に流れ着いたポルトガル人が、初めて日本人に鉄砲を伝えたくらいの歴史的な話だ。

これ以前に琵琶湖でレイクトローリングを試していた極数人のアドバンスなトローラーを除けば、この年2006年が広く琵琶湖に普及し現在の「琵琶湖スタンダード」が確立した元年だと言い切っても過言でないと思っている。

刺し網で採っている漁師たちよりも、釣師朗達がしているレイクトローリングの方がずっと釣れてしまうからだ。彼らは鉛線入り道糸を使った西洋式引き縄釣りてものを知らなかった。だかにらなんでこんなに釣れてしまんや!?と驚愕したに違いない。馬を初めて見たインカの人たちと同じだったのかもしれない。

だから今回海津大崎沖に行ったら釣師朗達遊漁者と漁師が同じレイクトローリングで競っていることがとても印象的だった。彼らは早速この見たことも無い道具一式を買い付けして操業していたわけだ。後で聞いたら漁師のみんなは流石それなりに水揚げしていた。

この湖では引き縄釣り(トローリング漁)てのは皆無だそうだ。当時の公的な資料にも曳き縄釣りでは釣れないと記されていた。ほんまに学者とか役人てのは現実を知らないみたいだ。

でも湖で生きている漁師は目の前で我々みたいな余所者に、しかも遊びの釣り人にバカスカ釣られれば、なんやこれは?じゃあワシらもやってみたいと思うのは自然な話だ。てなことで海津大崎に行ったら釣師朗達3艘にレイトロ道具を仕込んだばかりの漁師が3艘で、釧路沖のイワシ船団漁になっていた。

今は釣師朗達の方がノウハウがあると思うが、毎日漁に出られてもともとこの湖を知り尽くしている彼ら漁師の天下が直に来るのは間違いないだろうな。鉄砲を知らない未開の日本人にポルトガル人が鉄砲を売ってやったら、その後の信長の時代には世界一の鉄砲大国になったみたいにね。まぁその時には今度はこっちが、いろいろ教えていただくことになるだろうね。

ということで、釣師朗はただ尻馬に乗っているだけだけれど、この西洋式引き縄釣り(レッドコアラインとダウリガーによるトローリング釣法)を伝えたROSCOさんはインカにやって来たスペイン人、種子島にやって来たポルトガル人だな。 凄いことだよね。


8月9日

台風のいきなりの上陸で、今回の夏合宿の実行が危ぶまれていたが、結局行っちゃえで台風の暴風豪雨を突き抜けて、東京から琵琶湖に乗り込んだ。

今回の特攻隊の隊員は釣師朗とhayasiさんとヨシローさんに、地元で待ち受けているスペイン人のROSCOだ。しかし日ごろの行いかあっさり台風は外れて行ってくれた。多少の雲と波を残してくれた以外はね。

朝5時には出船した。水温28度。薄曇だ。

魚探を見ていたら場所が見づらいので手に取ったらいきなり電源が切れてしまった。スィッチを入れなおすと動いた。そんで床に置いたらまた切れた。そして二度と復活しなかった。なんでここからよく知らない釣り場で勘によるとローリングが始まったわけだ。

前回圧倒的な釣果のツノで引っ張ってみたが、感触として何か違う気がした。そんなんで夜光貝でやってみたら、これがぽんぽん当る。

釣師朗の魚探は潰れているので無線で訊いてみると、10メートルに筋が出ており、12メートルぐらいの直下にへの字が見えているそうだ。じゃあ10色でさくさく行こうと思った。前回はFlasherで絶好調だったが、今回は試作の銀箔貼りDodgerを流してみたが、これが正解だった。

ポイントは島の向かって右手のずっと沖合いだが、ここを銀箔ドジャー+夜光貝でダブルヒットが何回も爆裂した。どうやら「銀箔Dodger+夜光貝」が今日のヒットパターンみたいだ。他の隊員は厳しい情況が続いていた。釣師朗は独りで当りパターンに嵌まって午前中に軽く1ダースは釣ってしまった。

6時半から8時半までは入れ食い、8時半から10時半まではスカ、10時半から11時半まではポツポツとこの八月の満月の日には、どうやら明確に地合タイムがあるようだ。また今回は30cm大の小物が結構掛った。前回はそんなものは掛らずアベレイジで45cm前後だったのだが。

台風の残り火なのか、波が結構残っていた。この波がある時は全く釣れないのだが、一時でも波が治まるとばたばた釣れだすのは興味深かった。

竹生島周り以外では葛尾の岸寄りラインが良かったが、大きいのはなかなか出ない。しかし本当に美味しいのは35cmぐらいだそうだ。大きいのは脂が乗り過ぎてしつこいのだが、小物は真っ赤な身で程よい脂が淡白でも味わいある美味だった。

チャレンジャーのhayasiさんは、終日ビックミノーをダブルで曳いて見事な玉砕だった。その後の仲間内の実釣でも琵琶湖ではビックミノーは無理みたいだ。ビワマスはサクラマスや大岩魚とは違う習性みたいだ。

目立つということで銀箔で釣れるのであれば、パールホワイトもいけるだろうと思って自作のスプーンを曳くもカスリもせず。しかし自作の銀箔貼りスプーンは確実に釣れた。

Flasherもそれなりに釣れたが、今回はDodgerの方がヒット率が高かった。この理由はさっぱり分からない。

夕方も同じ状態でぽつぽつ釣れて楽しめた。釣師朗は今回はばっちり氷を仕込んでキャッチ前提の釣りなので美味そうなものを3本用意した。宿に帰って一番大きいのを刺身にしてもらった。

夜は相変わらずの釣り談義で午前1時まで。たぶん東京を発して30時間は寝ていないだろう。死ぬほど眠いのだが翌朝6時に起こされて、7時には水に浮いていた。


8月10日

台風一過、絵に画いたような快晴。マジで干物になるか!の灼熱戦線だった。釣師朗は特注の菅笠かぶって操業、他の人たちはパラソル立てて操業だ。

で釣師朗は昨日ダブルヒットで独りで釣っていた葛尾岬と竹生島の中間ラインに向かう。現場には誰も居ない。ぽつぽつ釣れる程度でおかしい。

赤いスプーンを岸寄り遅く曳くとウグイの猛攻に遭う。適当に釣れて5本だったが、何かおかしい。視界360度で誰も居ないのである。運悪く無線機は電源切れで使用できなくなっていた。

どこでやっていんだ??孤独な釣りが続く。

11時ごろに携帯電話に、今日の上がりは桟橋12時と連絡が掛ってきた。で直ぐに何処に居るの?と訊くと、大崎のトンネルからコンクリート岩盤の間の沖で入れポンの入れ食いだって。

釣師朗は仕掛けを揚げて残り僅かの時間だが、そこに急行したらみんないた。しかもトロ船の漁師が3艘もいた。完全に最後でポイント選びで滑ってしまった。

Hayasiさんの近くに行くと取り込み中だった。釣師朗は意地で素曳きでミノーを曳いた。そしたら終了間近でなんとかヒット。Hayasiさんは「先に上がりま〜す」の余裕の一言で去っていった。

ROSCOさんもこのエリアで顎が曲がった50オーバーの雄を揚げていた。そして後で訊いたらhayasiさんもここで56cmだった。

総括として、銀箔で夜光貝10色がヒットパターンだったようだ。ツノは安定しているようだが、状況の一発は夜光貝かも知れない。4キロは出したいところだ。

こうして2006年ビワマストローリング曳き倒し夏合宿は無事終了した。






葛篭尾岬から見た島。この位置と向かって右手のず
っと沖がポイントなっていた。なんたってここは前回
釣行時にバカ当りした所だしね。今回も初日は独り
でダブルヒット連発だった。ところがヒットして一人で
釣っていたのだが、誰も周りには居なくて気味が悪
かったね。でも二日目はがくっとヒット数が落ちた。
しかし今回の本当の当りポイントは大崎沖であっ
た。コンクリート盤からトンネルまでの範囲の沖だ
が、ここには我々船団と地元漁師船団が入り乱れ
てのヒット合戦だった。前回はここまで遠洋していな
かったので、このポイントはけろっと忘れていた。前
方はヒット取り込み中のhayasiさん。今回も最後に
56cmで帳尻を合わせてくれた。



二日目の最後の最後にリップレスミノーの素曳きで良型を、KEN、ヒィィィィィィィット!!(絶叫)
写真だとしょぼいかもしれないけれど、実釣りは結構水しぶきが飛んで楽しかったよ。
現時点では絶対に目立ってナンボであるが、魚影の濃いポイントでは素曳きでもいけそうな感じ。定番のドシャー仕掛けでないところが、嬉しいヒットだ。いつかすれたら熾烈・苛烈な「関東TROスタイル」(精神修業)になるのであろうか!?



11cmリップレスミノーでぶち当たり! 揚がってからも大暴れなのでな
かなか格好いいシッョトが撮れないんだな、これが。今回のアベレイジ
は40cm前後で、この前より小さいのもパラパラ釣れていた。でも実際
食べて美味いのは35cm前後の小物なんだな、これが。

でもミノーは何でもいいて感じで釣れるたが、スプーンは意外にセンシ
ティブだった。



ツノを使うとこの程度のサイズだと、嘘みたいな話だ
が、ダース単位で簡単に釣れてしまう。釣れたもん
全部持って帰るようなドン百姓釣師は、ここでは禁
足の地にしたい。釣師としての高邁な自主ルールの
マインドが必須だと思ったね。
さすがROSCOさん
初日ボウズ喰らっても最後にはこんなワイルドな大
物の釣り上げて納竿だ。産卵前で顎が曲がりだした
雄のビワマスだ。婚姻で全体が黒ずんでいた。鱒は
婚姻が入ると顔が怖いと思っていのは釣師朗だけ
か。




第3話へ続く