ビワマス釣り 100+の疑問

BIWA History 3


第3話 今日の付き場を曳け

(09.23-24,2006)



琵琶湖レイントローリング ビワマス
51センチの鼻曲がりオス。
写真ではその色が正確に捕らえられなかったが、ピンク色の婚姻食が出だした「アメノウオ」だ。よくものの
本やWebに、この魚の地元の呼び名、あるいは別名「アメノウオ」と書いてあるが、それはぜんぜん間違い。
 地元漁師に聞くと産卵を迎えて婚姻色が発色したこの時期の魚のみを言うそうだ。大雨の降った後に一斉
に遡上を開始することから、雨の魚でアメノウオと言われるそうだ。

水温23度の生簀に放り込んでいても殆ど弱らなかった。アメノウオはこの他に2、3本揚がっていたが、圧倒
的に銀ぴかの方が多かった。これからさらに遡上・産卵のために、エネルギーが白子・卵に注がれるため、
身から脂が抜けて腹身が薄くなっていくそうだ。

大崎沖水深62mツノ12色



来月から禁漁期間となるので、これが最後の釣行かとまたまた遠征することになった。おかげさまでお金と時間が続かず、今シーズンはこの湖以外のいつもの湖は、とんとご無沙汰が続いている。

参加メンバーはいつものhayasiさん、地元のROSCOさんだが、今回は写真班のS社長も加わった。現場に朝4時過ぎの真っ暗な中に到着したが、その翌日にBiwaTroutさんも単独で出船とのことで、なんかオールキャストの釣行になってしまった。

しばらく調子の悪い状態が続いていた様だが、それでも他のフィールドに比べれば爆釣レベルであることには違いはない。先週曳いた人の話によると、大きいものは出ていなかったが、釣法やポイントは基本的にいつもと変わらずであり、婚姻入りが出だしているが、ただ遡上前の大型がどこの沖で待機しているかのポイントが、未だ掴めていないそうだ。

基本的には皆50オーバーを一つの目安に、密かに狙うは60オーバーで一致していた。出船前の漁師の話によると、島と葛尾の間で先日60オーバーが出たそうだ。大崎と島の島寄りの沖も良いとか。これらのポイントは、偶然だが釣師朗も何回か流して慣れてきたポイントであるが、実は前回もそうだったが湾内の二本松から大崎に掛けての水深50−60メートルラインと、大崎のどんと沖はろくに流していないので、経験が足らないポイントとなっていた。

しかし実際には前回釣行もそうであったが、そのポイントには居付きでもいるのか、次々とフレッシュな群が回ってくるのか、安定した釣果が出されていた。漁師たちもここには必ず入る様だ。

ROSCOさんがようやく到着してから皆と出船した。釣師朗は湾を出た水深50メートル辺りから、ツノと輝線なしの4cm夜光貝の銀箔張りドジャーの10色と9色で島に向かって曳いた。作戦はそこから島の手前でターンして葛尾に抜けるライン取りだった。

水温は23.6度で晴れ、ちょっと薄暗い中での一投目だ。風は微風でこのまま続くとありがたいが、まぁ日が昇ればまたびゅうびゅうと吹くのだろう。しばらく曳くと直ぐにヒット。ただしやわらかいクイクイの引きで、すぐさまウグイかなんかの外道のアタリであることを悟った。せめてウグイでない方の外道を期待したが、悲しいかな一本目はウグイからスタートだった。

ただ朝一一本目のウグイは縁起がいいので、二本目を期待したら間髪入れずにヒットした。しかしこれも見た瞬間で外道と分かるアタリだった。外れてくれ外れてくれと念じていたら抜けたようで、そのまま続行とした。 浅い水深をのろのろ曳いていると、彼らの補足速度内に収まってしまうのか、前回もそうだったが外道が当り続ける様だ。

擬似餌の選択は実績の通常大のツノと気になる小での試験曳きにしてある。島まで進むが途中の魚探の反応は無いに等しく、稀に出るのが1−2個のへの字が14−15メートルに出るくらいであった。

成果無く島をターンしてTへ向かうと、前回と同じヒットポイントで9色側4キロで、明らかに本命魚種の強いアタリが来た。のされた状態からアクセルあわせをぶち込んで様子を見ると、がっちりフックアップしている様だ。最初の水揚げはぷりぷりの47センチだった。

その周辺をもう一度周ってみると今度は10色側5キロで、これまた強いヒット。手元までぎっちり引き倒されて揚がったのが、ジャスト50のこれまたぷりぷりの銀ピカだった。

しかしこれらのヒットは7時台であり、8時に入るとアタリがこのエリアで遠のく。仲間に無線で情報を聞き出すと、やっぱり皆大崎の方に行っている様だ。北風を受けながら苦労して遥か先の大崎へ向かって進んだ。

9時前にROSCさんから、出ました60クラス!の無線が飛び込んできた。二本松沖12色で得意のツノ3.8キロで決めたそうだ。

すると釣師朗の方は水深62メートルで12色ツノ3.6キロにどっかぁぁぁんと竿先が後方に引き倒された。100メートル彼方からもその強い鼓動が、グリップにずんずん響いてくるのが分かった。ひよっとしたらとの期待感が膨らむ中どうにかランディングに持ち込むと、どっこいしょと掬い上げたのが51センチの雄、鼻曲がりのピンクの婚姻色入りだった。

残念ながら60オーバーではなかったが、アメノウオと呼ばれる婚姻色入りを釣り上げたのは初めてだったので、これはこれはで十分嬉しかった。

10時に大崎手前の60メートルラインで52センチ雌を追加する。夜光貝12色だ。この新サイズでも大物は確かに出るが、ツノより小物のヒット率が高い感じがした。大は小も喰うが小は小しか喰わないてことなのか? この後はもう食べごろサイズがばらばら揚がる感じで、全部で12本ぐらいが水揚げされた。

12時の沖上がりで大浦の桟橋に戻ると、桟橋左手入口で座礁した。何だこりゃてぐらい激浅遠浅になっていた。何故ボートに竹竿が積まれているか理由が分かった。案の定スケグが砂底に突き刺さってしまった。

仕方ないので引っ掛かった船尾を浮かすために、竹竿を持って船首に立ちおっちらおっちらと漕ぎながら脱出した。これ、パニックで舞い上がると船尾に立ったままで漕ぐので引っ掛かって進まないので、さらに舞い上がってしまう人がいるので冷静にならなくてはならない。緊急事態にパニックってしまったらダメよ。

さて赤恥をかきながら船漕ぎして係留して陸に上がった。ROSCOさんは60頭に良型を10数本、hayasiさんもサイズはなぜか小さいのが多かったが10本以上をそろえていた。

昼食を取って情報交換をしながら時間を過ごし、午後3時に再度出船することにした。釣師朗は午前中と基本的に同じコースを同じ順番で回ろうと沖に出たが、西風と北風が強くて操船に苦戦した。風下に流されながら曳くスタイルで島に向かうが、相変わらず魚探の反応は乏しく出る感は午前中より1メートルほど沈んだ15−16メートルにへの字が散見されたぐらいである。

そして不思議なのは時間に関係なくパラパラ釣れるのだが、皆35センチぐらいの小物ばかりとなった。やはり大崎でやろうと転舵したが風が強くてまともに曳けず、無理して大崎まで辿り着く時間が無駄だと思って島周りを周回することにした。

太陽は5時くらいまではまだ高めの角度の夕日だったが、さすが秋のツルベ落とし、そこからがあっという間に陽が落ちて暗くなりだした。風も向かい風だし早目に帰港しよとしたら最後に小物がヒット。強風の中やっと取り込んだらこりゃマジで遅いかもと思い、急いで帰りだすが、さらに風が強まり船足が出ずちょっと焦った。

一番遅れて帰着したら、大物と最後に遊んでいたの?と訊かれたが、とんでもない話だった。午後は総じて皆小物が5−10本程度のちょっと期待外れの釣果だった。

夜は広間で美味しい軍鶏鍋に舌鼓を打つ。前回も軍鶏鍋だったが酒の方を飲み過ぎて食べられなかったが、今回は軍鶏鍋だったら絶対に食べると決めていたので、ビールは控えめにして食べた。嬉しいことに味付けが関西流なのでますます食が進んだ。だいたい軍鶏鍋なんて東京でなかなか食べれる機会が無いので、釣師朗にとってはすごく価値がある。

さらに季節物の抱卵した鮎に、自分が釣った魚の刺身に、ビールが飲み切れないほど出された。腹一杯になったところで、いつものこの湖と魚の釣り談義になったのだが、ここに漁師の親父さんたちも加わって、いろいろ貴重な地元ならではの情報を聞かせてもらった。

12時にお開きとなったが昨日の朝6時から一睡もしていないので、都合36時間も起きていたことになる。相変わらず強行な遠征初日がこうして終わった




初日の釣師朗の水揚げの一部。
とにかく期待を裏切らない湖だ。午前中だけで50オ
ーバー3本、この他にも40センチクラス6本ほど揚
げている。セッパリみたいな体型に目がひかれる。
価値を表す取引値段は長さではなく重さだ。1本は
婚姻色が出始めたオスで、地元では「アメノウオ」と
呼ぶそうだ。この後夕方また出船するのだが、なぜ
か午前中と打って変わって小物が6本のみとなって
しまった。
毎度お馴染みのROSCOさんの臨時魚屋の光景。
いろんな所から注文を受けているので、捌く量は毎
回大変な量である。業務用のビニール袋が重さで
抜けたこともある。この台所が低いので捌いている
と腰が痛くなってしまう。 肝心の胃の中は、鮎とワ
カサギだったが、鮎は7cmぐらいのが1本で、残り
は6−7cmのワカサギが殆どだった。どうやら鮎か
らワカサギに、餌がこの時期に替わったようだ。




二日目は昨日と同じコースを同じ釣法で試して見た。

7時の朝食後に出船したので朝一の2時間ちょっとはやってはいないが、昨日と打
って変わってぜんぜんダメダメだった。昨日の釣法がまったく通用しない状態だっ
た。


昨夜合流し朝一から曳いているBiwaTroutさんよりの情報は、59センチ
頭に10本以上と絶好調で凄腕を見せてくれている。


遥か遠くの島までの道のりで出たのはヒメだけであり、それも忘れた頃にぽつんぽ
つんと釣れる程度だ。葛尾にターンしてもかすりもせずそもそも周囲に誰もいない
のは、釣れないから誰もいないのかと不安になってきた。特に小にはヒットが皆無
状態で今の食にマッチしていないようだ。


昨日の小物釣りだったhayasiんから昨日とはがらっと変わってヒット、ヒッ
トの無線が入ってくる。13色で来ているそうだ。場所はやはり大崎方面だ。突端
の三角屋根から隧道に掛けての沖に小魚の群が出ているそうで、それに対象魚が付
いてるのかもしれない。


今日も強風であり12時上がりのこと、爺さんが今日の雲の具合は強風が出だす形
なので早めに帰って来たらえぇとの忠告もあったので、勝負を急ぐことにした。仕
掛けを上げて青屋根に飛沫を被りながら急行すると、hayasiさんが取り込み
中だった。hayasiさんの内側に入って青屋根沖水深50メートルに仕掛けを
入れようと風上に向かうと、ブイがずらっと斜めに並んでいて、これをまたいでか
ら仕掛けを投入した。


この時点で小がダメなので同じネタの大振りながら細見の夜光貝に切り替えた。周
りは何隻もの引き縄釣り船が出ていた。やはり今日はここらしい。三角屋根沖水深
60メートルに細かいへの字の塊を見つけこの辺りでターンすると40弱がやっと
こさヒット。


強風の中もう一回同じコースを流すとまた同じポイントでヒットした。しかし時既
に遅しで沖上がりとなった。塩焼きサイズ3本、刺身用2本の貧果で終わってしま
った。完全に作戦ミスだった。


陸に上がっての反省会で知ったのは、ROSCOさんがしっかり婚姻入りの大物を
揚げて且つ漁師も粘っていたポイントは8色の三角屋根の沖水深50−60m/8
センチ夜光貝であった。小がダメなら大への切り替えの見極めが遅かったこと。


きっと餌が豊富な湖なので、食べたい物だけを好きなだけ食べられる贅沢な環境に
あるからなのかもしれない。ちょうどこの時期は鮎からワカサギに旬が変わったこ
とも見落とせない。あれもこれも追っかけてはくれない。


探りは朝一投目はキビナゴ入り夜光貝とツノで見比べてシフトして、太陽が上がっ
て環境変わったら、もう一回ダブルで流して入れ直す必要を感じた。ツノは終日安
定、キビナゴ入り夜光貝は一時に効く印象あり。



帰り支度を整えて近隣の温泉に行く話をしたら、いやいやそこではなくて最近出来たばかりの綺麗な温泉があるからとの耳寄りな情報をキャッチ。早速行ってみた。

そこは涼しい風がさわやかに吹く高原にあって出来て2年程度の真新しい施設で、露天風呂にジャグジー風呂まで用意されていた。

ここの湯に浸かってリフレッシュした際に、大きくて綺麗で美味い魚をぼんぼこ釣り上げて、地元の名産をいろいろ堪能して、さらには温泉で疲れを癒して、しかも明日は有休取得済みのこのパターンは、なんて贅沢な遊びなんだろうとしみじみ思い込んでしまった。

次回は撃った猪の牡丹鍋を食することが計画されているそうだ。養殖の猪豚じゃないてのがまた食欲をそそる。東京でもある所に行けばあるのだろうが、釣師朗ごときでは本物の牡丹なんて食べられない。

なんか趣味のハイソな雑誌にでも特集されそうな「大人の遊び」に極まってきたようだ。




湾の中にある「二本松」
成蹊ではないが青い屋根が目印。湾内だから西風
には風裏となる。出船後ここが最初のポイントとな
る。そんなに深くはないが、実際朝一はヒットが多い
ようだ。初めて水深40メートルに達した所の右手側
に在る。菅浦の手前の岬のちょうど対岸。
大崎の「三角屋根」
この湖の大場所の一つで、多くの曳き綱釣師が集
まってくる。水深60メートルラインに小型の群れが
入っていてぽろぽろ釣れた。ただ本命はさらに沖の
80メートルラインに居たようで、ここは攻め忘れたた
め二日目は50オーバーとは縁が無かった。




ROSCOさんが釣り上げた後ちょっとで60の獲物。婚姻色が入って写
真では分からないが、縦横ごろんとした迫力のある魚体だった。

琵琶湖レイクトローリング これは凄いよ!




第4話へ続く