ビワマス釣り 100+の疑問

BIWA History 8


第8話 冬はどこにいるのか?

(1.08,2008)



1月3日11時に薄曇り無風の中出船。気温3度、水温10.3℃で透明度は7.3メートル。

年末から昨日2日までは、この冬一番の寒気が流れ込んで近畿北部は強風や大雪であった。今回初の高島からの出船であるが、周囲には雪が結構積もっていて、やはり昨日はしっかり降ったようだ。

大量の雪が湖に降り注いだことで、昨日の水温は確認はしていないが、確実に水温が冷え込んでいることが気がかりだった。帰り際に会ったこれから出漁する古老の漁師に言わせると、「まだ水温が高い。7℃までに下がらないとあかん」とか言っていたが、どうなのであろうか。

数日間安定した7℃と、冬季の水温が下げ途中の7℃では、魚の活性に違いがあるのではと思うも、なんとも判断しようの経験が足りなくてできない。

さてそもそも今回この真冬の時期に挑戦したのは、かねてからのテーマ、冬季にビワマスたちはいったいにどこに居るのか?を試すことである。

禁漁明けの12月から4月ころまではぱっとしないのがここ2年間の結果だった。その理由を仮説としてあげてみると、活性自体が低すぎてルアーを追わない、或いはこの期間中は我々が曳いているエリアには居ないだと思う。

ただ前者だと魚探にそれなりに反応が出るべきだが、今までの経験では反応自体がまったく無いことが殆どである。それも自分だけではなく僚船からの情況も同じである。

となれば我々が曳いているエリアに居なく、まったく違うエリアを移動しているのではないかと考えのが自然だと思う。鱒は海の回遊魚みたいで、そこに餌が無ければさぁっと通り過ぎてしまっている。

この冬季間はまったく違う場所で餌が沸いていて、そこに鱒は移動して留まっている。だから我々が開拓し今曳いているエリアは通常のシーズンでのエリアであって、冬季に狙うエリアではないと考え出した。

これをかねてから検証したかったが、ではどこてのが定められなかった。これさえ確立できれば年間通して安定した水揚げ、じゃなかった釣果が期待できるわけだ。 まさに夢の楽園、パラダイスてことよ。

それが今回ROSCOさんより高島から船を出すとの話を聞いて、渡りに船となり正月三が日ではあったが、急遽付き合ってもらうこととなった。

事前に湖沼図を調べてみると、高島の沖2、3キロになんと中禅寺湖の松が崎の沖のごとく大きな水中島が在るではいか。周囲は水深80メートル級の深場が続く湖底より突然盛り上がりだして、島の頂上が水深30メートルまでにも達したている。

たぶん湖流がこの島にぶち当たり、低水温の深層流が水面に向かって吹き上がる流れが生じているはずである。少なくとも高水温となる夏場には、湖底から冷水が吹き上げられて周囲のエリアよりも水温が低いはずだ。これは夏場には有望なポイントではないかと思うんだけどな。 これは今年の夏場に実釣してみたい。

そしてこのポイントが冬場にどうでるか密かに期待していたわけだが、今回船頭のROSCOさんはそちらには行かず、高島の沖、そうね2キロぐらいか、近場で釣れると見ていた。水深で50から70メートルの3ラインを等深線に沿って曳くパターンだ。

なんで近場のみでやろうとした理由を訊いてみたら、実は日頃バスをやっている某チームも最近流行りのビワマス・トローリングを始めたが、12月でもここいらで結構いいサイズを釣っており、年末もそれなりに釣れたと聞き漏れて来ていたとのことだ。実はそれもあってそのエリアに間近の高島を新しい母港としたそうだ。

ぱらっぱらっの小雨が上がった11時に出船した。今日の仕切りはすべてROSCOさんだ。 10色シルバー2/0ドジャーに5センチの夜光貝ちらし鈎と、11色超ド派手蛍光色ドジャーに7センチの金属トビーだった。

このド派手ドジャーは、蛍光色テープの黄色と赤のツートンカラーであったが、今日のような光量が少ない曇り日はこれが利くそうだ。

正午前の水深76メートルで夜光貝にヒット、なんと新春からウグイ。

沖から見た高島港の目印は風車が岸に立っていて、南側に向かう水面に何の目的か知らないが、鉄製の櫓が二つ立っている。

魚探に正体不明の巨大な塊が突如浮かび上がった。上側が水深20メートル底側が水深40メートルの塊で、まるで平筆でぎゅっぎゅっと稲妻に書きなぐった現れ方だった。たぶん藻エビかヨコエビの大集団では?と思う。

12時半より快晴となり光量が上がり期待も上がる。しかしぴくりとも反応が無い。ごくたまにへの字が10から20メートルにぱらりと現れるが、ヒットに結びつかない。

14時30分に軽いヒット、あわせを入れると乗ったのでロッドを手に取るも軽い。30センチのビワマス。夜光貝の方がやはり安定した喰い付きがあるようだ。ヒットポイントは大崎沖Nポイント南3キロてとこか。12色時速2.5キロと遅め。

あとはまったくぴくりともせず、ごくごく偶にヒットしてもゆっくりとクンクンとしなるぐらいで、ハイシーズンでのひったくるようなヒットは皆無だった。これは何を食べているかは分からないが、すぅぅっとスジエビでも吸っているのか、あるいは活性そのものがこの時期は低いのかである。

3時以降は曇ったり晴れたりの繰り返したが、無風となり波も無くまったりと湖相とった。しかし一向にかすりもせず4時に終了とした。

今回もそうであるが魚の居場所が違うのではないか? ここのなぞを解明しなおさなければならい課題を残した。

まぁその後の後日談とかまとめて判断すると、厳冬から早春にかけての支笏湖のパターンと同じていうかぁ、沖の湖底の湧水ポイント周辺に溜まっているのでは?が最有力の仮説になっているみたい。

じゃぁそれはどこよ?てのは釣師朗もまだ分かりまんがな。

ただ過去に猛暑渇水で琵琶湖に流入する河川が干上がった年があって、さぞやと思った新聞社の取材が、水位が激減してアオコが発生して汚くなくなった、関西の水ガメ琵琶湖の絵が欲しかったみたいだけども、行ってみたら予想にはして水位は減っていないし、水はとてもきれいで、素人の記者は何で??となったそうだ。

同行していた学者は当然と思っていた。 流入河川は干上がって枯れても、川底の下に伏水流が脈々と琵琶湖の湖底に流れ出している地形構造だから、水位は減らないし、川底下の天然フィルターでこされた水だから、かえってきれいなんだと。

琵琶湖も湖底に吹き出し口がいくつもあるようで、どうやらこの場所がクサイと睨んでいる。実際、等深線をよく見てみるとそれっぽいポイントを、見つけることができる。




第9話へ続く